ニューヨーク

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ニューヨークのクリスマスとニクソン元合衆国大統領


 クリスマスは北国のお祭りだ。
 昼から薄暗く寒々した北国程、クリスマスは盛大だ。
 ハロウィーン、感謝祭と祭り気分は盛り上がり、クリスマスでクライマックスに達する。
 街中、庭木まできらきら豆電球を点滅させ、衣装や室内装飾まで緑と赤のクリスマスカラーで明るく景気付ける祝いは、長く暗く寒い冬を少しでも明るく楽しくと演出した昔人の知恵だと思う。

クリスマスツリー
折り紙だけで飾られたクリスマスツリー
Copyright1998 Setsuko Watanabe
 
 ニューヨークの12月は格別だ。日頃は冷淡と言われるニューヨーカーも、12月は心優しくなる。財布の紐も緩くなる。
 ホームレスや、救世軍などへの寄付も気前がよくなる。
 夥しい数のクリスマスプレゼントも買う。一人で何十人にあげるのだろうか。昼時のマンハッタンは、プレゼントを探すサラリーマンの大ラッシュだ。
 4時半にはや日没。耳まで覆う帽子、長いコート、手袋、口鼻を覆う襟巻き、それにブーツなしでは歩けない程寒い。
 そんな寒さを物ともせず、ニューヨーカーは、風を切って街を闊歩する。
 クリスマスツリーの見物や、プレゼント買いに東奔西走だ。
 日本航空ビルは、例年折り紙だけでツリーを簡素に飾る。
 ニューヨークっ子には新鮮に写るらしく、子供連れがわざわざ見に来る。

 極めつけは、ロックフェラーセンターの2万個の豆電球の付くツリーだ。今年で66年目になるツリーは、12月2日7時半にライトアップする。オハイオ州産の高さ22.5メートルだそうだ。ツリーの下のリンクで、アイススケートに興じる人達もいる。

リチャード・ニクソン
1993年12月24日
ロックフェラーセンターにて

Copyright1998 Setsuko Watanabe
 
 1993年雪のクリスマスイブ。リンカーンセンターで恒例のニューヨーク・シティ・バレーのクルミ割り人形(チャイコフスキー作)を観た後、10時頃ロックフェラーセンターにツリーを見にでかけた。
 人混みができていて、「リチャード・ニクソンだ」と誰かが言った。ボディーガードに支えられて、威厳はあるがどこか力弱げな老人が歩いて来た。ゆっくり私の次男に手を差し伸べ握手をして、「私と一緒に写真を取りたいか?」と聞いた。とっさにカメラのシャッターを切った。
 その半年前にパトリシア夫人に先立たれて、どんな思いで人生最後のクリスマスツリーを眺めたであろうか。翌年5月、元大統領は81才で亡くなった。

 翌日クリスマスも雪だった。ホワイト(=雪)クリスマスは幸運の印。人々は喜んで、セントラルパークに繰り出した。橇をひく者、雪だるまを作る者、スノーボードやアイススケートに興じる者と、喜びを様々に表現していた。
 クリスマスはやっぱり雪国の祭りだ。

リンク集
ニューヨーク市のクリスマス
ロックフェラーセンターのクリスマスツリー
ニューヨークのデパートのクリスマス
東京のイルミネーション

Copyright1998 Setsuko Watanabe


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