アラスカ


アラスカ ・ クルーズ


1. 内海航路(インサイド・パッセージ)のクルーズ

大海原をのんびりとクルーズするのもいいものだ。
荷物を船室のクロゼットに収納したら、下船までそのまま。
船内全体が、自宅だ。
大海原をすいすい動いては、要所要所、寄港して、観光する。
参加しきれない程のイベント、ごちそう、ショー。
動く大人のディズニーランドだ。


グレーシャー ・ ベイ
写真提供:
(株)トラベルプラザインターナショナル

グレーシャー・ベイを訪れるクルーズは、世界で一、二を競うダイナミックなものだ。バンクーバーから出航する。
1600キロに及ぶ内海航路は、一万五千年前にできた氷河(glacier)が、左右に後退して、狭い水路が開いたものだ。氷河は、毎年10メートル後退している。氷山が海に流れ落ちる様を間近に見ながらの迫力ある航海だ。
イルカやシャチの群が、船に伴走して、乱舞する様は、壮観だ。運がよければ座頭鯨の大群にも会える。

最果ての港は、どこも寂しいが、自然の力がみなぎっている。
遠洋漁業に出かけた男達に代わり、女性が力仕事をしているのに、心打たれた。
ロシア領だった頃の影響が色濃く残るシトカでは、世界唯一の女性だけのコサッ ク・ダンスを見た。

こども
ジュノ波止場の裸の子供
Copyright1999 Setsuko Watanabe

小川には、サーモンが頭をぶつけ合うようにして重なり合っている。海釣りをすれば、大魚が食らいついてくる。日本製の柔な竿は、撓ってしまう。

蚊も大きくて、吸血鬼のように血をどっぷり吸い上げる。

寒空に子供は、裸だ。



クルーズの圧巻は、グレーシャー・ベイ。チルカット山脈とフェアウェザー山脈に囲 まれ、湾に流れ込んでくる氷河は16ある。
アラスカ最高の栄冠を堪能するため、当日は、船内行事はなし。
湾内で2時間、船は停止する。
一生に何度もない身震いする程の感動だ。
神々しい。官能的だ。荘厳だ。
ベートーベンの荘厳ミサのベネディクトスのバイオリンの妙なる音色が聞こえたのは、 幻聴か。

乗務員
Copyright1999 Setsuko Watanabe
時々、氷山が崩れ落ちる(ドー)という音が聞こえる。

太陽が氷山に反射してまぶしいが、空気は、冷たい。ヤッケに、手袋、マフラーをして、ココアで暖まりながらの見物だ。
氷山の表面の氷は、200年前のものだそうだ。
流氷にのったペンギンもオットセイもアザラシも名も知らぬ海鳥も集まる。低空を鷲が旋回する。

氷山に、目もくれず、デッキチェアで読書したり、昼寝する人もかなり居るのには、驚いた。

最後の夜のフェアウェル・ディナー時に、突然照明が消えた。
停電と思いきや、ウェイター全員がラデッキー行進曲にのってベイクド・アラスカに火をつけて、ダイニング中を行進しはじめた。
にくい演出だ。スタッフ全員で客を愉しませてくれる。

リンク
「アラスカ・クルーズ」
「アラスカ内海航路」

Copyright1998 Setsuko Watanabe


〜続く〜
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