みんなで持ち寄り旅のスケッチ

木曽駒ケ岳 :うらしまつつじ の紅葉を訪ねて

赤 堀 豪 士

 1999/10/4、駒ヶ根駅前発 7:00の一番バスに乗車。ウィークデーにも関らず、ロープウェー乗り場には既に長い行列が出来ていた。
前日からの曇天が早朝から次第に回復して、千畳敷に着く頃には稜線上に青空が広がっていた。


 早速、極楽平、宝剣岳、乗越浄土、伊那前岳と続く稜線をパノラマ合成用にデジカメに収める。振り返ると南アルプスの山々が雲海の上に黒々とシルエットをよこたえ、その連山の中央に富士山が頂を覗かせていた。

 千畳敷から乗越浄土までは、岩礫の中のジグザグの登り、そろそろラッシュアワーの始まる頃で、行列の中に入っての登りは中々自分のペースで歩けない。それでもロープウェー駅から45分、まずまずのペースで稜線上のコル、乗越浄土に到着。この付近で遊んで帰る人も多く、ここから先は人もまばらになる。木曽駒ケ岳(2956m)山頂へは、中岳を越して更に1時間。

 20数年前の9月にここを訪ねた時、丁度うらしまつつじが色づき初めで、その美しさに魅せられてしまった。そしてこの2年前の10月中旬、たまたま駒ヶ根を訪れた機会に、もう一度あの真っ赤な葉っぱに出会いたくて登ってきたけれど、この年は冬の到来が早くて新雪が山頂を覆い、うらしまつつじは既に褐色に変わって枯れていた。


しかしこの時は、全天に雲一つ無い快晴に恵まれて、御嶽山が木曽谷を隔ててすぐ目の前に聳え、その右手はるか彼方に加賀白山迄望めたし、さらにその右手には北アルプスの峰々、頚城山塊、八ヶ岳、浅間山、奥秩父の山々、南アルプスの連山、そして中央アルプス南部の山々と、360度の眺望を楽しむことが出来た。


今回は、御嶽山から北アルプスにかけて雲海が広がり、山頂を僅かに覗かせている程度で、眺望はいまいちと言うところ。

 だがその代償に、今回の山行の第一目的であるうらしまつつじの紅葉は最高だった。真っ赤に染め上げられて、一枚一枚が光り輝いている様をカメラに収めて大満足。はい松の間のちんぐるま、みやまだいこんそう、こいわかがみ の紅葉も、それぞれ微妙な色合いで自分の存在をを主張していて、ファインダーを覗きながら山頂の一時をゆっくり楽しむことが出来た。

 往路を戻り、時々木曽谷から湧きあがってくるガスのかすめる岩壁のトラバースにちょっぴりスリルを味わいながら、宝剣岳にも 5回目の登頂を果たして、満ち足りた気分で山頂を後にした。

筆者の自己紹介

 4年前にサラリーマンを引退して、趣味の洋蘭栽培と、咲いた花を写真に撮ってホムページに載せたり、たまにハイキングにいったりで、毎日を過ごしています。若い頃登った雪の山々や、岩壁登攀の写真を整理しているうち、山の素晴らしさを皆さんに紹介したくて、山のホームページも開設しました。最近は険しい山に登るのはやめて、1999と2000年はスイスアルプス、カナディアンロッキーのハイキングツァーに参加して、雪と岩の山々を眺めたり、高山植物の写真を撮ったりと、海外の夏山を楽しんできました。しかし今年は、留守中の蘭の世話を頼んでいた娘がいなくなり、さてどうしたものかと悩んでいるところです。( 2001/5/14 )

  akahori@mtf.biglobe.ne.jp

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