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ロードスの旧市街に一歩足を踏み入れたら、たとえ目を閉じていてもそうとわかります。旧市街の道に敷かれているのは、アスファルトではなく石畳。ごつごつとした石の感触が、靴の底から伝わってきます。 騎士通りを上って、騎士団長の宮殿に行きました。宮殿と呼ばれてはいても、実際は要塞。厚い石の壁が、外界の騒音と熱気を遮ってくれます。家具らしい家具がないのに部屋が殺風景に見えないのは、床にモザイクが飾られているからでしょう。小指の爪ほどの石で描かれた、長い髪の女性、波、イルカ。モザイクの図柄は部屋ごとに変わりますが、 どの部屋でも、天使の彫像がロウソクを掲げています。この宮殿の主は、かつて十字軍として戦った、聖ヨハネ騎士団なのです。 |
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宮殿の外に出ると、まぶしい日差しに一瞬目がくらみました。旧市街の小路は迷路のように入りくんでいて、いくらも歩かないうちに道に迷います。そのまま進んでいると、かわいい噴水のある広場に出たり、突然元の道に戻ったり。土産物屋の店員が日本語で声をかけてくることも あれば、開きっぱなしのドアの奥から洗濯機を回す音が聞こえてくる こともあります。ドアは、猫が自由に出入りできるように気遣って開けてあるわけではない。住人の気質が、もともとおおらかで開放的なのでしょう。通りの向こうの白い階段に、観光客向けのキャンディーを盛ったトレイが置き忘れられて いました。 | |
何気なく入ったレース屋で、店員が熱心に勧めるナプキンをまとめて買ってしまいました。レースはギリシャ土産として人気がありますが、
着いて早々の散財は考えもの。「うーん」とうなりつつ空を仰ぐと、通りの 上を覆う緑の蔓のアーケードが目に入りました。この街の緑は意外と豊かで、大きな木の枝や藤棚が喫茶店の屋根代わりに使われています。それだけでなく、民家の玄関や中庭にも、草木がこまめに植えられています。夏に花を咲かせるのは、ハイビスカスや夾竹桃、朝顔。別の季節には、また別の花が咲いているのでしょう。 |
筆者より こんにちは、カリプソ(from_calypso@hotmail.com)です。 |